樹齢2,000年とも言われる “奇想天外” こと 'Welwitschia mirabilis'
ナミブ砂漠を後にし、ナミビア第二の海辺の街、 Swakopmund(スワコップムント)に向かいます。
ここで宿をとり、翌朝早朝に'Welwitschia mirabilis' の群生地、Welwitschia drive(ウェルウィッチア・ドライブ)へ。
街の郊外にあった高さ2.5mほどの蟻塚
街を出てしばらく走ると地平線の世界
南回帰線を越える
この辺は国立公園に指定されており、入域許可証がないと入ることができません。
スワコップムントから数時間、乾燥した砂と石だらけの場所に到着。
何もない砂漠にポツポツと点在するように枯れ葉の塊のようなものが見えます。
“奇想天外” 発見
“奇想天外”こと 'Welwitschia mirabilis'(ウェルウィッチア・ミラビリス) は、ここナミビアの一部にのみ自生する1科1属1種の裸子植物です。
コルクのような黒い幹から2枚だけ葉を出し、その葉だけを生涯伸ばし続けるという、他の植物にはない珍しい特徴を持っていますが、特筆すべきはその寿命。放射性炭素を使った同位体測定ではなんと樹齢2,000年以上の株もあるそうです。
葉が何枚もあるように見えるのは裂けてしまっているためです
また、一見何もないこの砂漠で生きていくために、地下深くに根を伸ばし、その長さは5mにも達することがあるとか。
たしかに奇想天外の群生地から数km手前に小さな渓谷の跡のようなものがありましたが、そこは水がまったくないにも関わらず、小さな灌木や草が生えており、その近くにはダチョウを見る事もできました。奇想天外もその渓谷の地下深くにある水脈から水分を得ているのかもしれません。
株の中心部は砂に埋もれている
奇想天外は雌雄異株らしいのですが、これはどちらでしょうか、、、?
葉をそっとめくってよく観察すると、小さな赤い虫がいました。
いかにも毒がありそうな風貌をしていたので捕まえて観察するのは止めておきましたが、後々調べてみたところ、どうやらカメムシの一種の 'Probergrothius sexpunctatis' のようです。
なんでも、ウェルウィッチアの株の周辺にのみ生息する非常に珍しい昆虫で、ウェルウィッチアの樹液を吸って生きているそうです。それだけだとただの害虫のようですが、ウェルウィッチアの花粉を他の株へ運び受粉を手助けする、ポリネーター(花粉媒介者)としての役割もあるそうです。
ウェルウィッチアの葉の下をよく見ると何匹か確認できました。 日を遮るもののないこの砂漠で暑さを防ぐために家としても活用しているようです。見事な共存関係です。
枯れてしまった奇想天外。諸行無常の響きあり。
ボロボロになりながらも見事に活着した小さな株。